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愛のカタチ

第1章 ON~社会人×大学生~交わる心編~



俺は心臓が止まるかと思った。
その二人の親密な様子に思わず立ち尽くしてしまった。

ショウクンは大野さんの肩に手を回し大野さんを引き寄せる。
顔を近付けて耳元でコソッと話すと、二人で顔を見合わせクスクスと笑うんだ。


潤「にの? どした?」


その人に近付かないで。

そこは俺の場所だ。


雅「にの?」


その肩から手を離せ。

その人は、俺のなんだ。


雅「にの…? っておい、にのっ」


目の前が暗くなったけど、あの時の暗さじゃない。

あの時は、フッと光が遮られたかと思ったら、大野さんの温もりを感じたんだ。

だけど今はそうじゃない。

ただ俺の目の前が暗くなっただけ。

暗闇に、墜ちただけだ。









甘い。


俺の鼻に微かに香るこの匂い。


俺はこの匂いを知ってる。
大好きな香りだ。


和「ん…」

智「あ、起きた?」


ふわふわと揺られて甘い香りを嗅ぐ。
聞き覚えのある優しい声と、大好きなその香り。
それに誘われて俺はうっすらと目を開けた。


和「おおのさん…?」

智「ふふ、良かった。しっかりしてる」


目の前には明るい色の髪。
その髪から香る甘い香りに思わず顔を埋めた。


智「うひゃっ、く、くすぐった」


夢なのか本当なのか。
俺は顔をグリグリと擦り付けた。


智「こら和っ。落とすぞ」


現実みたいだ。
俺は大野さんの背中にいるんだ。


和「え、俺なんで…」

智「呑みすぎなんだよ」


ブッ倒れたんだ。
目の前が真っ暗になって、それに驚いた回りの喧騒がうっすらと聞こえていた。


智「なんか騒がしいなと思ったら和が倒れてるから」

和「それで助けてくれたの?」

智「助けたって言うか、相葉が連れて帰ろうとしてたから、俺が奪ったの(笑)」


クスクスと笑いながら話す大野さんの背は温かい。


和「奪ったって… なんだよそれ。ショウクンは? いいの?」

智「へ?」

和「一緒にいたの、ショウクンでしょ?」

智「ああ、良く分かったね」


分かるよ。
だって貴方が話したショウクンと何一つ変わらなかった。


貴方がどれだけショウクンをしっかりと見てるのか。



それが、痛い程に分かったんだ。






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