愛のカタチ
第3章 ON~カウンセラー×生徒~カモフラージュ編~
智「っ、はぁ、はっ...」
俺の背に覆い被さり、先生は荒い息を吐く。
和「ふっ、は、ぁ...」
俺は脱力した身体を投げ出し、先生の下敷きになっている。
智「っ、二宮...」
荒い息を抑えながら、先生は俺をコロンと転がす。
智「お前、その目」
和「なに...」
智「可愛いのかエロいのかどっちかにしろよ」
和「へ...」
智「罪悪感に駆られたり煽られたりで大変なんだよコッチは」
和「は?」
首筋に伝う汗はなんだか凄く大人っぽくて。
だけどその乱れた呼吸を調えて呆れた顔をしながら俺の頭をわしゃわしゃと撫でるんだ。
智「ほらその目。なんかすげぇ悪い事してる気分...」
和「悪い事って」
ああそうか、SEXの事だ。
和「そりゃ悪いに決まってるよ。俺未成年だし」
智「...お前も共犯だよ?」
和「え?」
智「俺を煽ったのはお前だからね。悪いコト、してる気分だったでしょ?」
和「おっ、俺は」
悪い事、してる気分だった。
智「ドキドキしたでしょ?」
和「う」
したよ。そりゃしたさ。
智「心臓が爆発しそうだったでしょ?」
それどころか止まりそうにもなったけど。
智「でもさ、SEXなんてしなくたってドキドキ出来る事もあんだよ?」
和「え?」
こんなドキドキしたの産まれて初めてってくらいにドキドキしたけど。
だけどそのドキドキを他でも体験出来ると言うのか?
智「なんかこう、胸が擽ったくなるような...、って言うかさ」
和「擽ったい...?」
それはもはやドキドキなんかでは無いんじゃ。
智「興味ねぇかな…」
和「なにが」
あ、また呆れた顔を見せた。
眉を下げて、困ったように俺を見るんだ。
智「順序がゴチャゴチャ」
和「だからなんの?」
智「すっ飛ばし過ぎなんだよ…」
俺の額の汗を拭うフリをして、先生は俺の唇をふんわりと包んだ。
和「ふ...」
智「ほら、な?」
柔らかく包むと、チュッと甘い音を立てて。
智「ちょっとドキドキしただろ?」
目尻に皺を作って先生は微笑む。
その顔はとても柔らかくて、甘い笑いが漏れるんだ。
柔らかくて、甘い。
だけどそれは学校で見た笑顔とも少し違って。
これも、本当の先生なんだろうか。