天然執事はいかがです?
第15章 パーティー
メイクは二人同時に行われ、30分くらいで終わった。
「頑張ってね菜月ちゃん♪」
「ちゃんと頑張んなよ菜月♪」
「うん…!!」
二人に応援され、私は舞弥と会場に向かった。
「菜月!!」
「母さん!!」
「あら、驚いた!可愛くなったわねぇ♪
これこそ馬子にも衣装ねぇ…!!」
馬子にも衣装って…
普段は可愛くないんかいッ!!
「それよりなんか用があったんじゃないの?」
話が長くなりそうなので、先に舞弥を会場に行かせた。
「始まりに挨拶があるから、ステージに立ってね」
「はーい…」
このスピーチが毎回めんどくさい……
何言えばいいかわかんないから、毎年アドリブだ。
今年は何て言おうか……
―――――
―――
結局何も浮かばないまま、スピーチは始まった。
こんばんわから始まって、今日はお集まりいただき誠にありがとうございます、なんてさらっと言ってしまう。
最後に乾杯の合図をやって、はい終わり!!
私は舞弥や俊くん、アルトさんの元へ行った。
「菜月~あんたまたアドリブっしょ~?」
「だ~いせ~いか~い♪」
俊くんとアルトさんはえぇッ!?と驚いた顔をした。
何だかさっきからアルトさんがそわそわしている。
「どうしたの?」
「いえ…何だか私のような者がこの場に居てよいのかと……」
オロオロとしており、ご馳走にも手をつけていない。
「大丈夫だよ!!父さんが許してくれたんだから!!」
「ですが…」
「1年に1回なんだし楽しもうよ♪」
私はご馳走を盛った皿を差し出した。
「はい…!!」
アルトさんは笑顔で受け取ってくれた。