天然執事はいかがです?
第16章 二人きりの旅行
目的の〇〇県に着くと、暗闇の中アルトさんはある軽自動車に近づいた。
中にはキレイで優しい目をしている女の人がいた。
歳は50代くらいかな?
アルトさんは車のガラスをコンコンと二回軽く叩いた。
中の女の人が気づき、窓を開けてくれる。
「栄理子さん。久しぶりです」
「有斗くんお帰りなさい。
あら、その子が例のお嬢さん?」
栄理子さんは私に気づき、こちらに視線を向けた。
「こ、こんばんわ」
「こんばんわ!
さぁ二人とも後ろに乗って?
家に行くわよ」
「「はい」」
私達は栄理子さんの車で家に向かった。
「わぁ…」
栄理子さんの家は家庭的な木造二階建てで一般の家より大きかった。
「あら、菜月ちゃん驚いてるの?菜月ちゃんのお家に比べたら貧相よ?」
栄理子さんは優しげに笑ってそう言った。
表札を見ると、藤原と書かれ、爺やの啓と書かれていた。
下には栄理子さんの名があり、その下には……
「神木 有斗……?」
「俺の名前だよ」
立ち止まって見上げていると、アルトさんが私の横に立ちそう言った。
「本名もアルトって名前だったんだね」
「うん……教えてなくてごめん……」
「そんなことないよ!!」
「二人とも早く入りなさ~い?」
家の奥から栄理子さんの声がした。
「はーい!!さあ行こう?」
私は有斗さんに手を引かれ、家の中に入った。