天然執事はいかがです?
第16章 二人きりの旅行
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「でね?昔は家に来た頃は全然甘えてくれなくてね?もう意地っ張りな子だったのよ~♪」
「栄理子さん、昔のことはいいじゃないですかー!!」
有斗さんは顔を赤らめた。
私は二人のやり取りに微笑みながら、ご飯を口に運んだ。
海の幸が豊富な〇〇県の物は美味しかった。
ね〇た漬けが特に気に入った。
ほっけの塩焼きも美味しかった!!
「お土産にあとで〇食センターで買おっか?」
「うん!!」
夜はお風呂に入り、次に有斗さんがお風呂に入っている間に有斗さんの昔の写真を見た。
「わぁー可愛い!!」
でも顔は無愛想なものが多かった。
「あの…有斗さんの両親は…?」
私は思いきって訊いてみた。
「もう亡くなっているわ…あの子が小学4年生の時に交通事故でね……」
「そうだったんですか…」
「でも孤児のあの子を誰も引き取ろうとしなかったの…
そこで旦那が遠い親戚だけど引き取ると声をあげたの……
あの子の両親は毎日働いていてね…
あの子が風邪でも傍にいなかったわ……
だからすごく愛に餓えている子なの……
私達夫婦にもあまり甘えてはくれなかったわね…
中学生辺りからは素直になってくれたけど……
それでもやっぱり親に甘えるみたいには甘えてくれなかった。
だから菜月ちゃん…あの子のこと、全部全部愛してあげて…?」
栄理子さんは不安気にそう言った。
「…はい!!」
有斗さんを守りたい、全部包み込んであげたいと思った。
有斗は壁に寄りかかり、黙ってその会話を聞いていた。