天然執事はいかがです?
第16章 二人きりの旅行
気づけば私は有斗さんを抱き締めていた。
胸元で抱き締めているため、有斗さんの旋毛が見える。
有斗さんの頭を撫でると、ふわりと優しい手触りで、イイ匂いがした。
有斗さんは私の背中に手をまわした。
大きな手は私の小さな背中に頼りなく掴まっている。
「な、つき…」
か細くそう言った。
「有斗さん…大丈夫だよ……
私はどこにも行かない…
有斗さんから離れないから…」
とびきり優しくそう呟いた。
泣いている子に言い聞かせる親のように。
私は貴方の両親みたいにしないから……
この人を愛して守りたい……
全部…全部……
私達は抱き締めあったまま、眠りについた。