天然執事はいかがです?
第16章 二人きりの旅行
翌朝目を覚ますと、隣に有斗さんはもういなかった。
丁度そのとき私の携帯が鳴った。
ディスプレイには"友香さん"と書かれている。
「もしもし」
《もしもし?菜月お嬢様おはよう☆》
「…友香さん朝からテンション高いね……」
《もっちろん♪でさぁ例の計画バレてないよね?》
「…あ」
《まさかもうアルトにバレた…!?》
通話口で友香さんが慌てた。
「バレてないバレてない!!
そのこと事態忘れてて…」
《なぁーんだ!!なら大丈夫だね!!んでさ、帰りの新幹線は藤原さんが最終のに勝手に決めたんだよね?》
「うん。そっちに着くのは朝かな?」
《了ー解♪じゃあパーティーは朝から夜までだからいっぱい呑めるなぁ~♪》
友香さんが意地汚くニヒヒと笑う声がする。
「主役は有斗さんなんだからね……」
私達が計画したのは27日の有斗さんの誕生日パーティー。
すでにプレゼントは用意している。
《わかってるって♪》
「菜月?俺がどうかしたの?」
ふすまが開けられ、後ろから声を掛けられ驚く。
「なんでもないよッ!!」
「…そう?もうすぐご飯できるからね」
「うん!!着替えたらすぐ下に行くよ!!」
有斗さんが完璧に下に行ったことを確認してから携帯を持ち直す。
「…もしもし?」
《もしもし?今のアルト?
バレてない?》
「うん…でもちょっと焦ったよ……」
《お嬢様はすぐ顔に出るからな~》
「悪かったですね」
機嫌悪く呟いた。
《半分冗談だよ☆》
半分!!?
《とりあえず、そろそろ仕事だからまたね♪》
そう言って友香さんは電話を切った。
私は携帯を畳に置くと、立ち上がって着替えを始めた。