天然執事はいかがです?
第4章 意識の相違
「あと、合気道とは習い事ですか……?」
「うん、今やってる習い事は合気道だけ。武術は去年までやってたから。
それなりに強いよ…?」
手をバキバキと鳴らすと、殺気を感じたのか、アルトさんは青い顔をした。
「あ、別に本気で殺る訳じゃ……」
「は、はい…
とりあえずダイニングへ参りましょう」
家を出るまで時間はたっぷりあるので、昨日のようにバタバタせず、ゆっくりとダイニングに向かった。
「お嬢様、朝食はいかがいたしましょう?」
「うーん…
とりあえず和食で」
「かしこまりました」
まだ母さんは起きていないのか、ダイニングにはいなかった。
間もなくして、アルトさんが朝食を運んでくる。
鮭の塩焼き、ほうれん草のおひたし、厚焼き卵、味噌汁、ご飯を運んできてくれた。
「いただきまーす」
私はそれをいつものように食べた。
だが、アルトさんに止められた。
「いけません、お嬢様」
「何が?」
「そんなにガツガツ食べてはなりません。
ご飯はゆっくりと何度も噛んで食べてください。
でないと、満腹感も得られませんし、喉に詰まってしまいますよ?」
優しく少し困ったようにアルトさんはそう言った。
「……分かった」
私は頷き、言われた通りにゆっくり食べた。
こんなにちゃんと食事を味わったことあったかな…?