天然執事はいかがです?
第6章 価値と気持ち
やっぱり屋敷の車での通学は大いに目立った。
でも今の私はそんなことどうでもいい。
今はアルトさんのことが気掛かりでならなかった。
なんだか私と距離を置いているようにも見えてしまった。
それともアルトさんは自分を、執事としての価値しか見てないのだろうか。
そんなの間違ってると思う。
アルトさんは執事と言う名目の使用人さんだけど、私はそういう上下関係みたいなものは嫌いだ。
ただ仲良くしたいだけ。
こんな考えは子供っぽいのかもしれない。
でも私は爺やの事を二人の祖父と同じように大好きで、私の中では三人目の祖父みたいな存在なんだ。
そう言ってしまえば、アルトさんは私にとってどんな存在になるんだろう。
お兄さん…?
……いや違う。
直感的にそうだと思った。
でもここ最近、あまりにも大きくなってしまった存在を言葉に表すことができない。
あと2ヶ月でアルトさんはいなくなってしまう――……
そう思うとまた心臓辺りがチクリと痛んだ。
だんだん気分も沈んでくる。
それが顔にまで出てしまったのか。