天然執事はいかがです?
第6章 価値と気持ち
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私は泣きそうになるのを堪え、浮かぶ涙を拭いながら舞弥に今朝の出来事を話した。
「へぇー…そうだったんだ……」
「うん……」
屋上には優しく穏やかな風が吹いた。
焼けるような暑さも退いている。
もうすぐ秋が来る。
「それはアルトさんの言い方がキツかったね。何もそんな言い方しなくても…」
舞弥は呆れたようにため息をついた。
「真面目過ぎるわねぇ……」
「………」
真面目過ぎる、か…
「で、どうすんの?」
「どうするったって……」
「迎え、朝と同じでアルトさんなんでしょ?」
「うん……」
気まずくなるだろうな…
「そのときお互いがどう切り出すかで、今後に響くね」
「仲直りできないのは嫌だ…」
舞弥は私を見てから、空を見た。
「ねぇ、菜月にとってアルトさんは何?」
「何って……」
私は言葉に迷った。