天然執事はいかがです?
第7章 波乱の休日
「菜月!!」
「お嬢様、一体何を……」
「あー……ムカついたから、手っ取り早く急所蹴っただけだよ?」
菜月は急所を蹴られ、気絶している男子生徒をチラッと見てからニッコリと黒い笑顔を二人に見せた。
それにアルトと舞弥は身震いした。
特にアルトは男だ。
自分の主人が男性の急所を躊躇なく蹴りあげてしまうというのは、とてつもなく恐ろしいことであろう。
恐ろしい方だ……
アルトは改めて自覚した。
「てゆーかさよく見たら、コイツ前にうちの高校のモヤシから集金してた奴だよ」
「じゃあ二回もやっちゃったわけか……」
舞弥はやっちまった、という顔をし、ため息をついた。
アルトはまだ震えている。
「とにかく早く場所移ろう」
騒ぎになったら、面倒なことになる。
そう思いながら、舞弥は菜月の手を取り、ライブ場所へ走り出した。
アルトもそれを追った。
――――――
―――
「一時はどうなるかと思ったよ……」
舞弥は呆れた顔でそう言った。
西商の文化祭をある意味楽しんだ三人は車に乗り込んだ。
「私もです…」
アルトはあの惨劇を思いだし、青い顔をした。
「そう?」
当の本人の菜月は目を丸め、そう言った。