天然執事はいかがです?
第11章 不安と準備
私は自室に戻り、制服のままベッドに埋もれた。
まだ決まってないのか…
でも11月一杯で居なくなるんだよね……
早く告んなきゃ……
でもそう考えるだけで、身体中が熱を帯び、顔まで火照ってくる。
うーん…と悩んでいると、アルトさんがノックをして部屋に入ってきた。
私はガバッと布団から顔をあげた。
「アルトさん?どうしたの?」
「お嬢様こそ、早く行かなくてよろしいのですか?」
どこへ?
「ドレスの試着へ」
……あ。
「忘れてた!!!皆待ってる!?」
「ええ」
アルトさんはニコリと笑った。
私はダッシュで試着室へ向かった。
部屋には数人のメイドさん達が待っていた。
「ごめんなさいッ!!遅くなって……」
「そんなこと御座いませんよ。お嬢様」
中にはひとつ年上の南さんもいた。
「南さん」
「南でよろしいのですよ?菜月お嬢様」
「えー…無理だよ…
それよりさ、私にはどのドレスが似合うかな?」
私は用意されたドレスを見ながら、南さんに訊ねる。
「お嬢様でしたら…」
数着のドレスを早々と選び抜き、見せてくれる。
「このようなドレスは如何でしょう?」
南さんが見せてくれたのは、淡い水色の胸元の開いたドレスに、黄色のワンピースのようなドレス、フリルをあしらった桜色のドレスだった。