天然執事はいかがです?
第11章 不安と準備
「んー…やっぱり水色好きだからな……」
私は水色のドレスを見つめた。
「ではこちらにいたしますか?」
「…でも」
「でも?」
南さんは可愛らしく首を傾げ、聞き返す。
「ちょっとセクシー過ぎる気が……」
「このくらい何でもありませんよ?菜月お嬢様の色気を男児に知らしめるチャンスです!!」
そう意気込む南さんの目はビー玉みたいに輝いている。
「知らしめなくていい!!!それに色気なんて無いよッ!!やっぱ水色のやめた!!」
「えー…そんなぁ……」
南さんはいかにも残念そうな顔をした。
「私はこのドレスが一番菜月お嬢様に似合うと思うのですが………
友香さんはどう思います?」
南さんは22歳カレシ募集中の友香さんに訊いた。
「あたし?どれどれ…水色と黄色とピンクね…
お嬢様にはやっぱり水色が似合うとあたしは思うな。
お嬢様どうでしょう?」
「友香さんまで水色ぉ!?
だってこれ谷間見えちゃうよ!!?」
私は赤面しながら水色のドレスを指差した。
「良いじゃないですか♪」
「友香さんもそう思われますよね♪」
南さんは友香さんの手を取り、キャッキャッと喜んでいる。
くそぉー…
こうなったら誰か男の人の意見を……
爺やは?
…いや、何となく論外だな。
着物とか着せられそうだし。
じゃあアルトさん…とか?
するとちょうど部屋の扉がノックされた。
「入ってもよろしいでしょうか?」
アルトさんだった。
友香さんが良いですよー、と返事をした。