天然執事はいかがです?
第11章 不安と準備
「ちぇっつまんねーのぉ…」
友香さんはいじる相手が逃げたため、口を尖らかせた。
「若いわねぇ♪」
アルトさんと同じくらいの年なのに、南さんは目をキラキラと輝かせ、そう呟いた。
あんなに顔を真っ赤にしたアルトさん見たことない……
「「菜月お嬢様♪」」
「へっ!?」
「顔が真っ赤♪」
「可愛いですねぇ♪」
友香さんと南さんは私の頬を各々突いた。
「やっぱお嬢様には」
「このドレスしかないですね~♪」
ニヤニヤと冷やかすように笑いながら、二人は私に試着をさせた。
―――――
―――
く…苦しかった……
友香さん達は張り切りすぎて、ドレスをきつく私に着せた。
ウエストがヤバかった…
昔の西洋の人達はコルセットをしてからドレス着てたんだよね……
スゴすぎるなぁ……
私だったら耐えきれない。
さっきのあれでも無理だったんだもん…到底無理だろう。
コンコンと扉がノックされた。
「お嬢様。お食事の用意が出来ましたぞ」
「爺や?」
迎えに来たのは珍しく爺やだった。
「アルトさんはどうしたの?」
「いえ…それがですなぁ…
何があったのか、顔を真っ赤にして先程から手に仕事がつかない状態なのですよ…
"俺は…俺は……"と頭を抱えたままで…
休むようにと自室に行かせましたよ」
きっとさっきのが原因だ…
私は爺やから目をそらしてそう思った。
「お嬢様、何かご存知では御座いませぬか?」
「し、知らない!!なんにも知らないよ!!それより早くご飯食べたいなッ!!」
「そんなにお急ぎにならなくとも、夕食は逃げも隠れもしませんぞ?」
爺やは柔らかく微笑んだ。