
好きにさせてはいけない
第1章 はじまりはあの日
お店の中に入ると、
やっぱりかわいい。何もかもがかわいい。
こんな世界で働けることを
心から楽しみにしていた。
「店長の「みるく」です。よろしくね。ゆいなちゃん!」
「よろしくお願いします…!」
店長さんも女の人。
優しい人そうで良かった。
一通り今日一緒に働く人の自己紹介が終わり、開店の作業を手伝ったりした。
いよいよお店がオープンする。
初めてご主人様やお嬢様と対面するのだ。
「こんにちは〜。あ、はるかちゃ〜ん!今日はるかちゃん出勤って聞いたから来たよ〜」
「あっ、まさとさん。来てくれたんだあ〜ありがとう〜っ!」
「まさと」と名乗った男は「はるか」さんと慣れたようにお話している。
「あっそうそう。今日からね、新しい子がいるの。ゆいなちゃんって言うんだよお〜っ!」
「あ…ゆいなです。よろしくお願いします…!」
わたしははるかさんに促され、自己紹介をする。
「へえ〜ゆいなちゃん。かわいい子だねえ〜。まさとって呼んでね。よろしく〜」
「よろしくお願いします」
まさとさんは、偏見かもしれないが、まさにメイドカフェに通っていそうな外見と性格だった。
正直、こういうメイドカフェに来そうなタイプは好きではないが、仕方ない。常連はこんなような人ばかりなのだろう。
