
甘い香りを私に。
第1章 その甘さ
呆然と廊下に立ったまま、私は彼を見続けた。
窓から夕方の光が差し込むのを見ると、なんだか昔に戻りたくなってくるのは私だけだろうか。
カップルが次々と帰って行く。
何故か自然に涙がこぼれそうになった。
哀しい。悔しい。辛い。
それでも私は捨てた。
そんな感情を捨てて、私はセフレを選んだのだ。
気持ちなんか要らないと。
元彼「葵、なにしてんの?」
いつもの甘い匂いがした。
心臓が止まるかと思った。
まぁそれも一瞬のこと。
葵「ううん、何でもない。悠、もう帰り?」
悠「うん、部活サボってきた。」
葵「…は、なんで」
悠「…葵に会いたくて。」
分かってる。この言葉に愛なんか好意なんか一つもないということ。
悠「葵、、………保健室。いこ。」
