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甘い香りを私に。

第1章 その甘さ

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誰もいない保健室。しんとした空気の中、私は呼吸を乱していた。


ひたすら心臓がいつもよりも早く動いた。


この心臓の音がうるさくて、もしかしたら聞こえてるんじゃないかとか、窓の外からこの状況を見られてしまうんじゃないかとか。

とにかく、気にしても遅いようなしょうもないことが

私の頭の中を巡っていた。



葵「やめよ…やっぱ、今日はやめよ。学校閉まるじゃん…。」

意味の無い抵抗。

悠「なんで?これから楽しむのに、帰れるわけないじゃん。」

葵「が、学校じゃなくてもいいでしょ…。」


抵抗してるつもりではあるけど体は正直というもの。

静かにキスをされると私はすぐに溶けた。



葵「ん…ちょっと…ぅん…まって、うぅ…」

悠「…もう溶けたの?可愛いなぁ……」

悠の真剣な表情に私はとても弱かった。

ゆっくり舌が侵入する。

自然と私の口も開く。



ん…ちゅ…くちゅ うん…ぁあん、ちゅ、ん、んん…




キスはとても好きだった。深いキスはもっと好きだった。

何より悠の甘い香りが近くで感じられるこの瞬間が、一番好きだった。


舌と舌が絡み合って糸が引く瞬間に
私は凄く、すごく、


興奮した。

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