
浮気性のカノジョ
第6章 彼との行為
彼のチーズインハンバーグと私のオムハヤシを食べ終わってから店を出ようと席を立った。サラリと伝票を彼に奪われた。ふうん、ストイックなんだな。
「自分で出すよ、食事代はさすがに」
「俺が出したいんだから、黙ってて」
「……あい」
「ん」
さすがに払ってもらうわけにはいかずに口に出すと、有無を言わさぬ口調でレジに行った。
「あら?琉生くんじゃない。来てくれてたのね」
「沙奈さんじゃないですか!」
明らかにテンションが上がる彼。私には見せない屈託ない笑顔。この女性は誰だろうか。このお店自体に来たことがないから、見たこともない人だな。店員さんなのは間違いないな、と考えていると、
「あら、彼女さん?」
と綺麗な女性がくすっと笑った。…あ、綺麗。純粋にそう思った。少しウェーブがかった長めの茶髪を後ろでゆるく結って、オレンジ色をした紅を引いている。色っぽいというよりも、働く女性というような大人っぽさが溢れる化粧で、彼女の容姿や声に似合っていた。
「ははっ、そんなんじゃないっすよ」
「…友達、です」
なんて言ったらいいかわからなかったから、友達だと言って少しお辞儀をした。沙奈さんと呼ばれた彼女は、ふふっと笑って私に、可愛らしい子ねと言った。その言葉と青みがかった瞳に見つめられ、恥ずかしくて何も言えないでいると、お金を払い終わった琉生が口を開いた。
「中身は可愛くないんで安心して下さい」
「あら、琉生くんはまた失礼なことを。またいらっしゃいね」
「ありがとう沙奈さん、ごちそうさまでした」
「あ、ありがとうございました!ごちそうさまでしたっ」
「はーい」
行くぞ、と声を掛けられて外に出ると少し肌寒くて、肌が粟立った。春とはいえ夜は冷える。薄手のカーディガンを着てきたが、それでも寒いもんだな、なんて考えながら無言のままひたすら歩を進めた。
「自分で出すよ、食事代はさすがに」
「俺が出したいんだから、黙ってて」
「……あい」
「ん」
さすがに払ってもらうわけにはいかずに口に出すと、有無を言わさぬ口調でレジに行った。
「あら?琉生くんじゃない。来てくれてたのね」
「沙奈さんじゃないですか!」
明らかにテンションが上がる彼。私には見せない屈託ない笑顔。この女性は誰だろうか。このお店自体に来たことがないから、見たこともない人だな。店員さんなのは間違いないな、と考えていると、
「あら、彼女さん?」
と綺麗な女性がくすっと笑った。…あ、綺麗。純粋にそう思った。少しウェーブがかった長めの茶髪を後ろでゆるく結って、オレンジ色をした紅を引いている。色っぽいというよりも、働く女性というような大人っぽさが溢れる化粧で、彼女の容姿や声に似合っていた。
「ははっ、そんなんじゃないっすよ」
「…友達、です」
なんて言ったらいいかわからなかったから、友達だと言って少しお辞儀をした。沙奈さんと呼ばれた彼女は、ふふっと笑って私に、可愛らしい子ねと言った。その言葉と青みがかった瞳に見つめられ、恥ずかしくて何も言えないでいると、お金を払い終わった琉生が口を開いた。
「中身は可愛くないんで安心して下さい」
「あら、琉生くんはまた失礼なことを。またいらっしゃいね」
「ありがとう沙奈さん、ごちそうさまでした」
「あ、ありがとうございました!ごちそうさまでしたっ」
「はーい」
行くぞ、と声を掛けられて外に出ると少し肌寒くて、肌が粟立った。春とはいえ夜は冷える。薄手のカーディガンを着てきたが、それでも寒いもんだな、なんて考えながら無言のままひたすら歩を進めた。
