もっと♡
第4章 朝も昼も夜も
保健室はがらんとしていて、誰もいなかった。
拓海先輩は慣れた感じで保健室のベッドにうつ伏せに横たわった。
「ほら、璃子ちゃん、背中押して。下校時刻きちゃうから」
「あ、はい‼︎」
もう訳が分からんけど、やるしかないよね。
拓海先輩の横に立って、両掌で背中を押す。
日々、筋トレしているのだろう。
ガッシリとした体つきで、腰も肩甲骨周りもしっかり筋肉がついている。
「気持ちいいですか?」
「うーん、まだまだかな。」
「ええっ!」
自分の中ではなかなか出来てるかなって思ったのに……
「選手のメンテナンスもマネージャーさんの仕事だよ?」
拓海先輩はそう言って、ベッドから起き上がった。
「璃子ちゃん、下手くそ。」
「ごめんなさい。」
「俺がお手本見せてあげるから、座って。」
座る?
拓海先輩は足を広げて、足の間にできたスペースをポンポンと叩いた。
「ここ。早く。」
「は、はい‼︎」
断ることなんかできないし、先輩の口調は有無を言わさない感じだし、座るしかないよね。