テキストサイズ

もっと♡

第5章 声は出しちゃダメだよ



図書室は何人かの生徒が勉強したり、本を読んだりしていた。


私は退屈しのぎに、図書室の入り口から1番奥の書棚で、文庫本を物色していた。


流行り物から文学系まで、数多くの本が並んでいる。


どれか借りて帰ろうかな。


そう思った矢先だった。


「りーこちゃん‼︎」


名前を呼ばれるのと、腰に手を回されるの、どちらが早かっただろう。


背後に拓海先輩の姿があった。


「先輩……こんにちは。」


「こんにちは。」


腰にしっかりと巻きついている拓海先輩の手。


思わず周りに人がいないか確かめたが、今のところ人影はない。


「本、借りるの?」


「あ、友達待ってて……面白いのないかなって。」


「ふうん。俺、オススメの本あるよ。」


「へえ‼︎ぜひ教えてください。」


「えーとね、これとかオススメ。」


拓海先輩は右手を伸ばし、書棚の上の方に手をやる。


でも左手は相変わらず私の腰に回したまま。


それどころか、手のひらは太ももの辺りを撫でている。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ