His←♥→I
第1章 SO~小人×一般人~進撃の小人編~
智「おじゃましま~す...」
翔「どうぞ」
招き入れる人と招かれる人。
会話だけを聞けばそうだけど、郵便受けに入った鍵を取り出しドアを開けるのは俺で、その俺が居なければこの家に入れないのはこの部屋の主だ。
智「わ...、凄いね」
翔「でしょ? もう資料が凄くてね」
少し鼻の高そうな翔は、俺の胸の中でふんぞり返ってる。
智「じゃなくて服が」
翔「え」
ぽいぽいとそこら辺に脱ぎ散らかした服と、カタツムリの様に丸まった靴下。
洗ったのがどれで、これから洗うのがどれかも分からない。
翔「ま、まぁ。気にしないで」
智「ああ、はい」
取り敢えず足の踏み場が無かったからベッドに座った。
そこに翔を下ろしてやると、パソコンを開けと俺に言う。
翔「そう、そこ開いて」
智「うん」
翔「...で、そのページから飛んで...」
マウスも重くて動かすのが大変な翔の代わりに俺が操作する。
翔「そうそれ。で、確か図書館に関連の本が」
智「図書館?」
翔「薬を作り終わったから、返しちゃったんだよね...」
智「ああ、そう...」
ちょっと抜けてる奴なのか。
利口そうなのに勿体ない。
翔「悪いんだけど、智くん借りてきてくれる? 俺は家で調べてるから」
智「え、でも重いでしょ?」
翔「大丈夫。結構鍛えてるんだから」
早く戻りたいんだろう。
小さな翔が元に戻ってしまうのが少し惜しい気もするが、翔の立場を考えるとそうも言っていられない。
だから俺は、急いで図書館に行く事にした。
智「ただいま」
翔「おかえり、早かったね!」
智「急いでると思ってね」
翔「ふふ、うん。ありがとう」
分厚い本を置いてやると、翔はその本を開こうとする。
だけどかなり丈夫そうなその本は、表紙だけでもかなり重そうだった。
智「はい」
翔「あ、ありがとう」
その本を開いてやると、翔は汗を滲ませながら俺に礼を言う。
だからティッシュで翔の顔を拭いてやった。
翔「んぷっ」
智「あ、ごめん。汗を拭いてあげようと思っただけなんだけど」
翔「い、いや。ありがとう(笑)」
智「ふふっ」
小さな翔はすぐ転ぶしすぐに汗をかく。
その姿が、愛おしいという感情を俺に湧かせたんだ。