テキストサイズ

His←♥→I

第1章 SO~小人×一般人~進撃の小人編~



智「一息入れよう」


一心不乱にページを捲る翔の背後に声をかけた。


智「お腹すいたでしょ? さっきメシも買って来たんだ」


翔はくるりと俺を振り返り、腹を押さえる。


翔「本当だ。腹減ってた」

智「ふふっ、ね?」


汗をかいているのに水分も摂らずに一生懸命調べてた。
俺はと言えば、何もする事が無く少し翔の部屋を片付けただけだ。


翔「ん、うまっ」

智「そ? 良かった」

翔「うん! めちゃくちゃ旨いよ!」


一生懸命調べる翔は、あまり言葉を発さなかった。
いや、無言という訳ではない。
俺と会話をしなかっただけで、翔は独り言を念仏の様に唱えてたんだ。


智「で、どう? 出来そうなの?」

翔「うーん。たぶんね」

智「たぶんなの?」

翔「や、あともうちょいなんだけど。詳しい材料が載ってなくてさ」


ネットでくまなく探せば見つかりそうなんだと言う翔は、少し焦りの色を覗かせていた。


智「取り敢えず風呂入ろう」

翔「風呂?」

智「ん、頭スッキリした方がはかどるでしょ?」

翔「それもそうだね」


ごちそうさまをした翔を風呂に入れてやる。

今度は茶碗に湯を張って。


智「ほら」

翔「う、うん」


手を差し出し翔を乗せる。
やはり少し恥ずかしそうに乗る翔を、そっと茶碗に入れてやった。


翔「あちちっ」

智「え」


急いで翔を摘んだ。


智「ごめん、熱かった?」

翔「小さいから、体感温度も違うのか...」


翔を掌に乗せてふーふーしてやる。


翔「...っ」

智「ん? 寒い?」

翔「い、いや」

智「そ?」


また顔を寄せてふーふーした。


翔「ち、近いよ」

智「え?」

翔「俺裸だし、恥ずかしい...」


足を閉じてモジモジするんだ。
顔だって赤いし、なんなら乳首まで隠そうと腕を体に回してる。


智「小さいから見えないってば」

翔「でも少しは、見えてるでしょ...?」

智「う~ん... まあ、ちょっとは」

翔「ほら!」


恥ずかしそうな翔は、俺の掌で丸まってしまった。


智「...ダンゴムシみたい」

翔「つ、つつかないで」


薬が完成したら、翔は大きくなる。

翔は自分の世界に戻ってしまうんだ。

ひとりで何でも出来るから、俺なんか必要じゃ無くなる。


残念だな、翔。







ストーリーメニュー

TOPTOPへ