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第1章 SO~小人×一般人~進撃の小人編~
智「どう?」
翔「う~ん...」
俺の胸ポケットから顔を覗かせ、翔は辺りを見回した。
だけどいまいちピンときていない様だ。
智「猫だからそんなに遠くは無さそうなんだけどなぁ」
翔「うん...」
智「家の近所に何か目印になりそうなモノ、無かった?」
翔「あ」
そうだ、公園があったと言う翔の言葉を脳内で地図に変換する。
智「あ~、公園ね」
翔「わっ、わかるの!?」
智「ちっさいとこでしょ?」
翔「そう!」
そういえばそんなに遠くも無い所に小さな公園があった。
近所の子供が遊びに来てそうな、少し古い公園が。
翔「ここだ...」
智「ふふ、よかった」
ポケットから身を乗り出し落ちそうになる。
その翔を少し摘んで、しっかりポケットに納めてやる。
翔「あっ」
智「ん?」
翔「あれだ...!」
またもや身を乗り出し、小さな指をピンと伸ばして空を差す。
その空を目で追うと、こじんまりしたレンガのマンションが目に入った。
智「あれ?」
翔「そう!あれ!」
胸ポケットの翔は興奮してる。
足場が定まらないのにバタバタと足をバタつかせ、俺のポケットの中で駆け足をしてるみたいだった。
智「ちょ、しょ...」
翔「あれだ、あれだよっ」
智「わ、わかってるよ、わかってるからちょっと」
翔「見つかってよかった!」
智「わかったから、大人しく...っ、ふ」
目をキラキラと輝かせ、俺の声なんて全く耳に入ってない。
智「も、もうだめ...」
翔「え?」
智「っく、くすぐった...っ、ふ、んふっ」
翔「うわわわっ」
智「っぷ、うひゃひゃっ」
翔「ちょ、あぶ、落ち、落ちるってばっ」
智「だっ、だって翔くんが...っ」
翔「お、大人しくするからっ、暴れないでっっ」
こんなの傍から見れば俺は危ない奴にしかすぎない。
ひとりで喋ってひとりで腹を抱えて笑ってるんだから。
だから俺は不審者に間違われない様にとなんとか笑いを収め、翔のマンションに向かった。