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第1章 SO~小人×一般人~進撃の小人編~



智「あれ...」


いつの間にか寝てしまったらしい。
翔はというと、俺の胸の上で汗でびちゃびちゃになりながら眠ってた。


智「ふふ、凄いな」


グッタリと体を投げ出して眠っている翔は、疲れているだろうに少し笑っている様にも見えた。


翔「あ...、俺も寝ちゃってた?」


そのびちゃびちゃの頭を指で撫でていたら、翔が目を覚ました。


智「みたいだね」

翔「もう夜か」

智「お腹すいたね。なにか食べよっか」


水を入れたスポイトを翔に渡して簡単なメシを作る。
そのメシを翔と向かい合わせで食べながら、世間話をした。


翔「智くんは帰らなくていいの?」

智「俺も休みだしね。それに、俺がいないと薬作れないでしょ?」

翔「そうだけど...、何か予定無かったの? ゴールデンウイークなのに」

智「キャンセルになっちゃってね」


キャンセル?と首を傾げて俺を見る。


智「新婚旅行」

翔「え...」

智「ドタキャンだよ? 信じられる?」


もうすぐで式を挙げようかという時にフラれ、式も新婚旅行もキャンセルしたんだった。


智「女なんてもう懲りごりだよ...」


しまった。遠い目をしたもんだから、翔が矢印みたいになってしまった。


智「休みも長めに取っちゃったから暇でね(笑)」

翔「そっか...」

智「ん。だからまだ帰らなくていいの(笑)」


だからちゃんと翔の世話をしてやると言うと、翔は少し笑った。


翔「じゃ、元に戻るまで付き合ってもらおうかな」

智「ふふ、うん」


元に戻るまで。

それはもうすぐそこだ。

翔が戻れば、俺は必要無くなる。


智「戻るまで、か」

翔「え?」

智「や、なにも」


ちょっと傷心だったのかな。

だからうっかり出会ってしまった不思議な小人に執着してしまったのかもしれない。


それでこの小さな翔を手放すのが、惜しくなってしまうのだろうか。







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