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第1章 SO~小人×一般人~進撃の小人編~
届いた。
いくら超早便だからって早朝にそれは届いた。
昨日は長めの昼寝をしてしまったもんだからなかなか寝られなくて。
だから俺は小さな翔を人差し指で撫でてたんだ。
名残惜しくて撫でてたら朝になって、それでチャイムが鳴ったんだった。
智「調合って、俺でも出来るのかな」
さすがにこの材料は見せるのが心苦しい。
まあどんな材料でも、戻りたいから絶対飲むんだろうけど。
だけど出来れば、苦しまずに飲んで欲しいし。
智「確かやり方をパソコンに残してたな...」
だからとっとと中身を出して袋を捨ててやろうと思ったんだ。
智「ん~、ムズいな」
慣れない手付きで調合を行う。
攪拌がどうとか濃縮率がどうとか全く訳が分からない。
智「お、それっぽくなってきたな...」
だけど翔の書いた手順通りに進めていけば、なんとなく形になってきた。
翔「ん...、智くん...?」
寝室から翔の心配そうな声が聞こえる。
チラッと覗いて見れば、翔はキョロキョロと辺りを伺い、俺を探しているようだった。
智「おはよ。ここだよ」
俺の声に反応してくるりと振り向く。
すると翔は顔をぱあっと輝かせ、安心したように胸を撫で下ろした。
翔「ああ、よかった。そこに居たんだ」
智「ん? ふふ、そうだよ?」
安心した顔を見せると、俺もそっちに行くとばかりに両手を広げて待っている。
まるで子供が抱っこをねだるようなポーズだ。
智「どうかした?」
甘えん坊に見えるそのポーズが不思議で、翔を掌に乗せ顔を覗く。
翔「いや、なんかヘンな夢見て」
智「夢?」
翔「うん。...智くんが出て行く夢」
翔が戻れば出て行くのは当たり前なのに、その現実になるであろう夢を、ヘンな夢と翔は言う。
智「俺が出て行くのが、ヘンなの?(笑)」
翔「うん...。いや、普通か...」
智「うん。普通だよ(笑)」
翔は首を捻っておかしな顔をする。
そのおかしな顔を隠さないまま、俺をじっと見つめるんだ。
翔「や、なんか...、なんだろ...? なんか、智くんと一緒にいるのが当たり前な感じがしちゃったんだよね」
たかが数日。
されど数日。
こんな少しの間でうっかり思っていた事を、翔も感じていたんだ。