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第1章 SO~小人×一般人~進撃の小人編~



翔「ところで、それは何をしているの?」

智「あ」


バレた。


智「や、俺でも作れるのかな~と」

翔「え、まさか...、く、薬っ!?」

智「うん、まあ」

翔「もう届いたのっ!?」


やっぱり待ち遠しかったんだな。
目を丸くして、覗こうとぴょんぴょん跳ねてる。


翔「早速作ってくれてるのっ!?」

智「まだ途中だけどね」


翔は、材料をごちゃごちゃ入れたビンに夢中だ。
だからその間にこっそり袋を捨てた。


翔「あ」

智「ん?」

翔「も~、違うよ。これじゃ駄目」


翔は徐にビンに近付き、ガシッとビンを掴んだ。


翔「くっ」

智「...重いの?」


小さなビンなのに、翔は掴むと言うよりは張り付いただけだった。


智「ここに移せばいいの?」

翔「うん」


俺がやるから指示してと言うと、翔はテーブルの上をちょこまかと走りながら指示を出す。


翔「で、それが攪拌機だから...、そう、そこにセットして...」


とにかく混ぜればいいんだろと、俺は一生懸命試験管を揺らしていたが、どうやら無駄な努力だったようだ。


翔「で、あと30分待てば」

智「...出来上がり?」

翔「たぶん、ね」


そんな未知な薬品なんて、漸く材料が揃ったとは言えそうそう作れる筈が無いと思ってたんだ。

なのに意外とあっさり作れてしまうその薬に、俺は少しがっかりした。


智「結構早く作れちゃうんだ...」

翔「だね。良かったよ」

智「うん、良かった...」


普通そんな早く作れるか?
もっとこう、試行錯誤して数日かかるのが普通だろう?


智「こんなの、誰でも作れちゃうんじゃない?」

翔「こんなの...?」

智「だって簡単じゃん」

翔「か、簡単ってアナタ」


俺の気も知らないでウキウキと浮かれやがるから、つい突っかかってしまった。


翔「これは未知の薬なんだ。こんな凄いの、思い付くヤツなんてそうはいないんだよ!?」


鼻息を荒くして翔は捲し立てるけど、今は素直に謝れそうにないや。

だってそのきゃんきゃん吠えてる姿をもう見る事が出来なくなるんだ。


今の俺にとって、こんなに惜しい事は無いよ。







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