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第1章 SO~小人×一般人~進撃の小人編~
智「ほら、機嫌直して」
朝飯を食い損ねてた。
もう昼を過ぎているし、薬が完成するまでの時間潰しにと簡単なメシを作った。
智「悪かったってば。お腹すいてるでしょ?」
翔「本当に凄い薬なんだ...」
智「わかってるよ。だからほら、飯食べよ?」
まだ拗ねてるから、仕方なく俺は謝罪の言葉を述べる。
だけどあんまり心を込めて言ってないのが伝わっているのか、翔は未だに俺をジトッと睨んでいた。
翔「あ」
ツンツンしてても、翔のお腹はきゅるるっと小さな音を出した。
智「ふふ、お腹すいてるんでしょ?」
翔「う...」
口元にご飯を寄せてやると、睨んでいる顔を少し戻し、鼻をピクピク震わせ匂いを嗅ぐ。
翔「いいにおい...」
智「でしょ? 結構自信あるよ、今日のチャーハン」
翔「ま、まあそこまで言うんなら」
仕方ないから食べてあげるよとか言うわりに、勢いよくガッついた。
翔「んほっ、けほっ」
智「落ち着いて食べなよ(笑)」
翔「ぐふっ」
智「あ」
やっぱり背をトントンしてやると翔は吹っ飛ぶんだ。
翔「だから、強いんだって」
智「ごめん。むせてるのが面白くて加減できなかった」
今度はスリスリと優しく背を摩ってやる。
翔が吹っ飛ばないように、人差し指でゆっくりと。
翔「ありがと...」
智「ん」
小さくて、一生懸命飯を頬張る姿はハムスターそのもので。
智「ぷぷ...っ」
翔「ほぇ?」
俺が笑うと、ちょこんと正座をしてる翔はキョトンとしながら見上げるんだ。
智「可愛いな...」
翔「ええ?(笑)」
少し照れた様に笑いながら俺を見てる。
智「ふふ」
翔「わっ、ちょ、や、ヤメてっ、首がもげそう」
あんまり可愛いから、つい頭をぐりぐりと撫でた。
人差し指で撫でてるだけなのに翔の頭はグラグラと揺れて、迷惑そうだけどやめられないんだ。
智「おっきくならなくていいのに...」
ボソッと言ってしまった。
そんな事を言う俺を翔は見てたけど、目を合わせられなかった。
目を合わせたら、翔の表情がわかってしまうから。
だから困った顔をしているであろう翔の顔を、俺は見られなかったんだ。
