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第1章 SO~小人×一般人~進撃の小人編~
なんだかんだで拗ねると結構長い翔を立ち直らせた。
翔「量だなきっと」
智「量?」
翔「だけどそんな沢山飲めないから、濃縮率を上げるか...」
智「ふうん?」
そう言うと、残った材料でもう一度先程のように翔は指示を出す。
翔「んで、さっきの余りの薬も入れて」
智「これも?」
翔「いっその事全部使う」
智「ふふ、わかった」
もう二度と失敗したくないんだろう。
翔は更に意気込んでる。
翔「...よし、これだけ丁寧にやれば大丈夫かな」
さっきよりも遥かに時間をかけた。
日もすっかり暮れて、なんならお腹だって空いてしまった。
智「じゃあ、出来上がるまでメシにしよ」
翔「うん」
後は攪拌を待つだけだ。
その間に最後の晩餐をして、小さな翔を目に焼き付けておこう。
智「そんなに戻りたい?」
翔「そりゃだって」
戻りたいなんて当たり前なんだろうけど、ついそんな事を聞いてしまった。
翔「ひとりじゃ何にも出来ないし...、まず不便だよ」
智「俺がしてあげるって言っても?」
翔「ええ?(笑)」
馬鹿な事を聞いてしまった。
翔「智くんがしてくれるの?」
智「なんでもしてあげるよ」
翔「ふふっ、それいいね」
馬鹿だと分かってるのに、俺の口は滑ってしまうんだ。
翔「でも、智くんじゃ出来ない事もあるんだよ...」
笑っていた顔を元に戻して、翔は俺を見る。
智「そっか...」
翔「智くんじゃ駄目なんだ。俺が大きくならないと...」
智「だよね(笑)」
情けないな。
分かりきった事を聞いて、翔にヘンな顔をさせてしまった。
智「戻ったら、ひとりで何でも出来ちゃうもんね...」
俺じゃ駄目なんだってさ。
分かりきってた事だ。
折角楽しかったのに、また俺の胸にぽっかりと穴が空いてしまうんだ。
俺は、その空虚に耐えられるだろうか。
