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第1章 SO~小人×一般人~進撃の小人編~



ピピピ


楽しい風呂の時間も終わりを迎える。


翔「出来たかな?」


翔がソワソワし出した。


智「先上がっていいよ。俺も洗ったらすぐ行くから」

翔「うん」


翔を小さなタオルで包んで手早く拭いてやる。
すると翔は、ありがとうと言いながら走って行った。


智「はぁ...」


その嬉しそうな後ろ姿を見て溜息が出た。
あんなに嬉しそうなんだから、一緒に喜んでやらなきゃいけないのに。


智「取り敢えず、早く出なきゃだな...」


手早く自分を洗ってバスルームを出る。
腰にタオルを巻き、濡れた頭をタオルで拭きながら翔の姿を探した。


翔「あっ、智くん!」


床でぴょんぴょん跳ねてた。


智「ひょっとして登れなかったの?」

翔「う、うん」


急いで出たのに、テーブルに登れずずっと跳ねていたと翔は言う。


智「言ってくれれば良かったのに(笑)」

翔「や、だって。風呂の邪魔しちゃ悪いかなって」


ヘンなところで気を遣う。
そんな翔がいじらしくて、気のはやる翔を掴んでテーブルに乗せてやった。


智「ど、どう?」

翔「うん...」


真剣な面持ちでビンを見る翔につられて、こっちまで緊張してきた。


翔「今度こそ、いける...!」

智「おお...」


自信のみなぎった顔はキラキラと輝いて見えた。
小さくガッツポーズをし、鼻息を荒立てる。


智「全部入れていいの?」

翔「うんっ」


ぎゅっと濃縮した薬は量もそれ程多くなく、翔でもなんとか飲めそうだった。


智「はい」

翔「ありがとう...」


デジャヴだ。
さっきと同じように翔はスポイトを持ってぷるぷると震える。


翔「じゃ、じゃあ...」

智「うん」

翔「の、飲むよ...?」


服をちゃんと着るのも忘れて纏っただけだ。

そんな翔はぷるぷると震えながらスポイトに口をつける。


だから俺も、服を着るのも忘れて固唾を飲んで見守っていた。






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