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第1章 SO~小人×一般人~進撃の小人編~



翔「あ...」


スポイトの中身をちゅーっと一気に飲み干した。


翔「さ、智くん...」


それを見届けると、俺はやっぱり目を閉じてしまっていて。


翔「智くん...っ」


ドンッという身体の衝撃で目を開けたんだ。


翔「やった...。やったよ...!」

智「え...」


目を開けても前には誰も居なくて。
だけど、俺の身体は暖かくて力強い何かに抱き締められてるんだ。


智「翔...くん...?」


ふと目線を下げれば俺の視覚には人のうなじが見えるし、鼻を掠める香りは少し甘い。


翔「戻った...、戻ったよ! 成功だよっ」


肌と肌が直に触れ合う感覚はすべすべしてて。
それが翔によるものだという事は、すぐに分かった。


翔「ありがとう。智くんのおかげだよ...」


翔が纏っていた服は、ビリビリに破れてゴミの様に床に落ちてる。
そんな事にも気付かない程嬉しいんだろう。
翔は素っ裸のまま、俺をぎゅっと抱き締めて離さないんだ。


智「うん。良かった...」


翔が戻れたのなら、俺がここにいる必要は無い。

小さな翔は可愛らしくて、凄く楽しかった。
だから戻るのが惜しかったけど、大きな翔に抱き締められるのもいいもんだな、なんて少し思ってしまった。

だけどどっちにしろ、俺はもう必要無くなったんだし。


智「ふふ、小さい時はわからなかったけど、結構筋肉質なんだね...」


俺を抱き締めて離さない翔に応えて、俺も翔の背に腕を回す。
回した手で背をぽんぽんすると、がっしりとした筋肉の感触が伝わった。


翔「でしょ? 俺、結構凄いんだよ?」

智「みたいだね(笑)」


俺が少し笑うと、翔は俺から少しだけ身体を離した。
俺の肩を掴み上体を離すと、俺を見つめて優しい顔を見せた。


翔「...なんだよ。智くんの方が可愛いじゃん...」

智「へ?」


フフッと鼻で笑うんだ。


翔「俺より小さい...」


本当にコイツはちょいちょい俺を馬鹿にしやがる。

だけど、俺より小さくて可愛いと言う翔の顔は、馬鹿にしているというよりも、目を細めて凄く優しい顔をして。


智「うるさいよ...」


だからなんだか、少し寂しくなった。


もうすぐ出て行かなきゃならないなんて、寂しく感じたんだ。






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