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第1章 SO~小人×一般人~進撃の小人編~



智「しょ、翔くん」

翔「...ん?」


もう一度俺をしっかりと抱き締め直した翔は、俺にべったりと張り付いて離れない。


智「おっきくなってる...」

翔「うん。だって元に戻ったんだから」

智「や、じゃなくて...」


俺の腹部になにやら硬くて熱いものが当たっている。


翔「あ...、あれ...?」


未だ俺を抱き締めたまま、翔は俺の耳の横で不思議そうな声を出した。


翔「え、なんで...」

智「あ」


思い当たる節があった。


智「やっぱ、俺の調合が悪かったのかも...」

翔「へ?」


やはり上体だけを離して俺の顔を見るんだ。


智「や、その薬、結構いろんなのが入っててさ」

翔「漢方みたいなヤツでしょ?」

智「なんか注文する時グラム間違えたかなとは思ったんだけど」

翔「うん」

智「すっかり忘れてて全部入れちゃった」

翔「なにを?」

智「えーと、すっぽん?」

翔「え」


翔が固まってしまった。


翔「え、材料って、そんなの...? まさか、他にも」

智「や、んな事は無い」

翔「いやいやちょっと」

智「てかもう戻ったんだし、俺、帰るね」

翔「は?」


問い詰められて上手く交わせそうに無かったし、しんみりと出て行くのもなんか嫌だし。
なら、ゴチャゴチャやってる間に勢いで帰ろうかなと思ったんだ。


翔「え、帰るの...?」

智「まあ、そうだよね」


漸くちゃんと身体を離して俺を見る。
肩を掴んだ手はそのままだけど。


智「もう、俺は必要無いでしょ?」

翔「え...?」

智「戻ったんだし、ひとりでなんでも出来ちゃうしね?」


少し小首を傾げてヘラヘラと笑いながら翔を見た。
すると翔は、笑って無かったんだ。


智「てか翔くん、素っ裸だよ? 何もかも丸見え(笑)」

翔「あ...」


自分の姿に気が付いて少し恥ずかしそうにしたけど、それでも翔は真面目な顔をするんだ。


笑みも零さない、冗談を言う訳でもない。
愛想笑いさえしてくれない。


只翔は、俺をじっと見つめているんだ。







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