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第1章 SO~小人×一般人~進撃の小人編~
智「あれ? なんか濡れてる」
◇「ごめん。それ、俺の汗」
家に着いて、胸ポケットから小人を出してやった。
すると、そのポケットが濡れてたんだ。
智「わ、凄い汗だね」
◇「悪いんだけど、シャワー貸してくれる?」
智「それは別にいいけど」
バスルームに連れてってやると、小人は俺の足元で服を脱ぎ始めた。
◇「ごめん、シャワー出して貰っていい?」
智「ん、それはいいんだけどさ」
ぽつんと立った小人の前にシャワーを出してやった。
◇「うわわわっ」
智「...流されるんじゃない?」
小人に人間サイズのシャワーは無理だ。
あんなのすぐに流されて排水溝に詰まってしまう。
智「これがちょうどいいね」
◇「ありがと...」
マグカップにお湯を入れてやった。
それをテーブルの上に置く。
智「ほら」
◇「え?」
智「入れないでしょ? 乗って」
丸みを帯びたマグカップは、つるつる滑って這い上がれないだろうと手を差し伸べた。
だけど小人は恥ずかしそうにモジモジして、なかなか俺の手に登らない。
智「入んないの?」
◇「や、入るけど。あんまり見ないで」
股間を隠してモジモジしてた。
智「大丈夫だよ。小さくて見えない」
◇「ちっ、小さっ!?」
智「あ、違くて。そもそもが小さいから...」
◇「あ、ああ。なるほどね」
そうだよな、別に俺は小さくなんてないぞとブツブツ呟きながら俺の手に乗る。
それをカップにそっと入れてやったら、地鳴りの様な声を出し、オッサンみたいな顔をした。
智「...ぷっ」
◇「え? なに」
智「や、ちっこいのに、オッサンみたいだなと(笑)」
◇「はっ!?」
若いのかオッサンなのか。
それは小さ過ぎてよくわからなかった。
◇「あ~、気持ちいい」
だけどカップの中で幸せそうに顔を緩ませてるのはわかる。
智「ふふ、よかった」
小さな生き物が人間の言葉を話し、喜怒哀楽を露わにする。
新しいペットを手に入れたようでなんだか楽しくて、俺は頬杖をついてその行動を眺めていた。