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第1章 SO~小人×一般人~進撃の小人編~
智「ところで、今日は家に帰んなくていいの?」
なんだかんだと小人の世話をしていたら、すっかり日が暮れていた。
◇「ああ、もうすぐ休みも終わりだから本当は家に帰りたいんだけど...」
智「休み?」
◇「だって今、ゴールデンウィークでしょ?」
驚いた。
小人の世界にもあるんだ。ゴールデンウィーク。
◇「こんなんじゃ出勤出来ないし、早く元の姿に戻らないと...」
仕事もあるんだ。
まあそうか。やっぱ働かなくちゃどこの世界でも暮らして行けないんだろうな。
智「...って、え。元の姿って?」
◇「だから、元の大きさに」
智「え?」
◇「え?」
ん? どゆこと。
智「...小人だよね?」
◇「は?」
ちっさいくせに、おもいっきり馬鹿にした様な顔したな。
智「違うの?」
◇「...当たり前でしょ」
馬鹿を見る目で俺を見やがった。
こんなに親切にしてやってるのに、なんなら外に捨ててやろうか。
智「じゃあ、なんでそんなにちっさいの」
◇「あ~、ちょっと、研究をね...」
なんだか頭がいいらしいコイツは、研究に没頭してたらしい。
タンスの裏に落ちた宝物を拾ったり、人間では入れない様な小さな穴に入って未知の生物を見つけたり、そんな事出来たらいいだろうなあ。そうだ、出来るんじゃねえか? いや出来る。俺なら出来ると、学生の頃からずっと研究していたと言う。
智「...そんなの、なんかほっそい棒でも使えば小人なんていらなくない?」
◇「ふっ、これだから凡人は」
よし捨てよう。
◇「ちょちょちょちょ! 危ないって!何してんのっ!」
首根っこを捕まえて、ガチャッと開けた窓際に連れて行った。
すると足をバタつかせ、異様に怯える。
◇「あ、危ないって! 落ちちゃう!死んじゃうっ!」
宙ぶらりんのまま、俺の指にしがみついて怖がるんだ。
◇「たっ、高いよ!」
智「ここ1階だよ?」
◇「俺には高いのっ!」
目ん玉をひん剥いて怖がっているのがわかる。
だから俺は、そっと掌に乗せてやったんだ。
小さな体であんまり怖がるから、なんだかちょっと可哀想になったんだった。