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第1章 SO~小人×一般人~進撃の小人編~



◇「ああああ、怖かった...」

智「そんなに?」

◇「高い所苦手なんだよ...」


俺の掌の上で腰を抜かしている。
だから俺は、両手でそっと包んでやった。


◇「...え?」

智「怖かったんでしょ? ...ごめんね?」

◇「いや...、うん...」


俺の指に両手を掛けて顔を覗かせる。
そのまま俺を見上げて、大人しくなってしまった。


智「元の大きさって、人間の大きさって事?」


だから、何か話を振って和ませようと思った。


◇「あ、うん。...つか、人間だしね、俺」

智「あ、そっか(笑)」


俺がふふっと笑うと、手の中の小人も少し肩を揺らした。


智「あ~、そっか。人間なら、名前あるよね?」

◇「うん」

智「俺は智。君は?」

◇「翔」


小人だし、どうせすぐに自分の世界に帰って行くんだろうと、名前を聞いていなかった。
だけど俺と同じ人間だといわれてしまえば、どんな奴なんだろうと興味が湧いた。


智「じゃあ、翔くん。ところでどうやって小さくなったの?」

翔「あ、えっ...と、薬をね、作ったんだよ」


俺が“翔くん”と呼ぶと、頭をぶんっと振り上げて俺を見た。
それで、少し辿たどしい口調で話してくれる。


智「で、元に戻る方法は?」

翔「や、それが」

智「ん?」

翔「今からなんだよね...」


薬が完成した事にはしゃぎすぎて、まだ元に戻る薬を作っていないんだと翔は言う。


智「え、だったらなんでそんな薬飲んじゃったの」

翔「や、ちょっと興奮して」

智「どうすんの。作れんの?」

翔「それが、調べてる途中でネコに捕まっちゃって...」


小人になったら凄いんだ。
世界を救う事だって出来るかもしれないんだよと、目を輝かせて一生懸命話していた。

凄い夢があるんだな、凄い奴なのかもしれないなと、俺は感心しながら聞いていたんだ。


翔「とっ、取り敢えず家に帰ればなんとか」

智「...わかんないんでしょ」


なのに薬が出来たことに興奮して一気に飲み干し、小さくなった、成功したとひとしきりはしゃいで我に返り、焦りながら元に戻る方法を調べ始める。

そんな時、ネコに捕まり外に落とされ、迷子になって途方に暮れてたんだ。

そして俺に踏まれた。


そんなコイツが少し情けなくもあり、俺の興味をそそるんだ。






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