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第2章 SO~研究員×小人~逆襲の小人編~
ブツブツと話し、ニヤニヤとにやけながら爆走する。
そんな俺は危険人物だ。
今お巡りさんに職務質問されたら、なんて言って誤魔化そう。
そんな事を思ってるうちに駅に着いた。
翔「ラッシュだから、潰れないでね」
智「え~...」
すっごい嫌そうな顔をした。
それと同時に不安そうに俺のポケットに捕まり、顔をぴょこっと覗かせる。
翔「ほら、他の人に見えちゃうから。我慢して...」
ツンと、頭を突いて押し込める。
上から覗くと、少しプクっと膨らませた頬が見えた。
不貞腐れているだろうそのほっぺも、愛しくてニヤニヤが止まらない。
智「きも」
翔「はっ」
智くんが見てた。
俺のだらしない顔を。
だけど俺は智くんを守るんだ。
キモいと言われたって、智くんを守り抜いてみせる。
智「むぎゅ」
翔「あっ」
ポケットの中の智くんが潰れそうだ。
智「んぷっ」
呼吸を確保しなくては。
翔「ちょっと、すいませんね...っ」
ググッと前のおっさんを肘で押す。
もの凄い迷惑そうな顔をされたが、そんなのどうって事は無い。
智くんが無事であれば、それでいいんだから。
智「はぁっ、はぁっ」
翔「無事...?」
智「な、なんとか...」
漸く電車を降りる。
明日はもう少し早めに出よう。
そうすれば、ラッシュも少しはマシだろう。
智「あ、熱い...」
風も遮られていてポケットに智くんの体温が篭ってる。
既に汗をかいている智くんは、喉も乾いているだろう。
翔「もう少しで着くからね。そしたら出してあげるよ」
智「ん...」
少しポケットを広げて風を送り込む。
外からは見えないようにと、気を遣いながら。
智「あ、涼し...」
やっと表情が緩んだ。
目を瞑って、うっとりと後頭部を凭げさせる。
翔「ふふ...」
その顔は、俺が智くんの身体にキスを落とした時に見せた表情に似ていた。
智「なに?」
翔「いや...」
ニヤニヤする俺を怪訝そうに見るけど。
昨晩の智くんが頭を過ぎったなんて、口が裂けても言えないな。