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第2章 SO~研究員×小人~逆襲の小人編~



翔「喉乾いたでしょ。はい」

智「ありがと...」


会社に着いた俺は、非常階段の踊り場で智くんに水分補給をさせていた。

ペットボトルのキャップにスポーツドリンクを汲んで智くんに渡すと、智くんはあっという間にクピクピと飲み干した。


智「...ぷはっ」

翔「ふふっ」

智「なに?」

翔「や、幸せそうな顔したなあと思って」

智「...こんな状況でんな訳ないでしょ」


やっぱりなんか冷たいな。
まあ、当たり前か。だって小人になってしまったんだから。


智「てか、なんで白衣?」

翔「あ、これ? 俺、ここの研究員なんだよ」

智「研究員?」


あらまあ可愛い。
ちょこんと座った生き物が、小首を傾げてきょとんとしてる。


智「だからいちいちにやけるのやめてくれない?」

翔「えっ、俺にやけてた?」

智「気付いてないのかよ」


智くんだって小さい俺を見て微笑んでたのに。
あ、そうか。
智くんはにやけてなかった。柔らかい顔で微笑んでたんだった。


智「俺ここで待ってる」

翔「え?」

智「だって熱いじゃん」

翔「空調整ってるから大丈夫だよ。それにこんな所、何かあったら危ないよ」

智「え~」

翔「1人じゃ何も出来ないでしょ? 俺がそうだったんだから」

智「むぅ...」


不貞腐れてるけど仕方が無い。
こればっかりは心配で1人になんてしてやれない。

俺なんて家でパソコンを触ってたにも関わらず、猫に喰われそうになったんだから。


翔「大丈夫。楽にしてていいよ」


白衣のポケットを覗くと、胡座をかいて俺を見上げた。

まだちょっと不貞腐れてるけど、水分を採ったからか機嫌は少し良くなったみたいだ。


俺のポケットに智くんがいる。


俺の愛しい人は、ここで俺に揺られてるんだ。







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