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第2章 SO~研究員×小人~逆襲の小人編~
翔「はい分かりました。早急に仕上げます」
ペコペコと上司に頭を下げて仕事に取り掛かる。
既にいくつか仕事をこなし、大人しいポケットを覗いたら智くんは寝ていた。
あどけない顔を晒して、すやすやと気持ち良さそうに目を閉じていたんだ。
翔「...まだ寝てるのかな」
未だに大人しくビクともしないポケット。
よく寝るなあなんて思いながらチラッと覗く。
翔「あ...?」
え。
翔「どっ、どこ!」
俺のポケットはスッカスカだ。
雅「どしたの翔ちゃん」
翔「あっ雅紀! 俺の、俺の...っ」
俺の智くんを知らないか。
翔「いや、あの、こんな小さい...っ」
これくらいの大きさの、可愛い男の人形を見掛けなかったか。
翔「...何でもないっ」
雅「へ?」
こんなの変態でしかない。
雅「何か探してるんじゃないの?」
翔「何も探してないよ...っ」
雅「ふうん? ヘンな翔ちゃん」
変で結構だ。
そんな事は俺だって薄々気付いてた。
翔「ちょ、取り敢えずあと頼むわっ」
雅「えっ、無理だよ。俺わかんないって...、て翔ちゃーんっ」
雅紀に任せるのは少し不安だが、今はそれどころじゃないんだ。
智くんを、俺の智くんを何処かに落としてしまったかもしれない。
翔「どこだ...、どこにいるんだ...」
床の隅っことか、棚の隙間とか。
智くんでも入れそうな場所を覗いていた。
翔「おーい...。出てきてよ~...」
小声で智くんを探すんだ。
和「探し物ですか?」
翔「へっ」
和「だってそんな隅っこ。覗く時なんて探し物以外に何かあります?」
翔「や、別に探し物って程の事でも」
和「...それ生きてるの?」
翔「えっ」
和「探し物。何処にいるんだ出てきてよって、言ってませんでした?」
最初から見てたのか。趣味が悪いな。
翔「き、聞き間違いじゃないかな?」
和「...そうですか?」
翔「うん、そうだよ」
何とか誤魔化し二宮を追い払う。
和「あ、翔さん」
翔「なっ、なに」
和「研究用のマウス逃がしたんなら、厳罰ですよ?」
追い払ってまたコソコソと腰を屈めていた。
そんな俺の後ろ姿に声を掛ける。
智くんはネズミじゃねえ。
それよりも遥かに可愛いんだぞ。