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第2章 SO~研究員×小人~逆襲の小人編~



智「寝ていいよ」

翔「でも」


午前中、俺は頭をグラグラと揺らしながら仕事をこなした。
ふらふらと揺れる度に、ポケットの智くんに抓られてなんとか持ち堪えていたんだ。


翔「またカラスに狙われちゃうかもしれないでしょ」

智「隠れてるから大丈夫だよ。時間になったら起こすから、少し寝て」

翔「う~ん...」


昼に公園でランチを食べ終えた俺に言ってくれる。

だけどやっぱり心配だから、智くんをポケットに閉じ込めてベンチに転がった。
俺の胸でもぞもぞと動くその生命を確かめながら、智くんの言葉に甘えて心地よい眠りにつく。

そんな夢うつつな俺の耳に、智くんの可愛い声が聞こえる。


智「わ...、ダンゴムシって結構迫力あるな...」


ふふ、自分が小さいからダンゴムシが大きく見えてるんだな。


智「げ、足何本あるんだコレ」


きっと気持ち悪そうに顔を歪めてるんだろう。


智「ありんこもやべえ…」


興味津々だな。


智「あれが巣か」


少し遠のいて行く智くんの声はワクワクしてる。

全く、小人を満喫してるな…。ん?

遠のいて行く?


翔「はっ」


俺の胸に智くんの温もりが無い。
その事に驚いた俺は、カッと目を見開いた。


翔「さ、智くんっ?」


キョロキョロと辺りを見回す俺の目に、1人の男が映る。

その男は、立ち止まって足元をじーっと見ている。


翔「やべ...」


まさか智くんが見つかったんじゃ。

あんな小さくて可愛い小人。

すぐに捕まえて見世物にされてしまう。


その男の視線の先に目をやると、やっぱりそこには智くん。

只、智くんもその気配を察知したのか、バタンと地面に転がって人形のようになっていた。


アイツに捕まる前に、なんとか智くんを保護しなきゃ。






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