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第2章 SO~研究員×小人~逆襲の小人編~



なんだこの男、“智”なんて呼び捨てにしやがって。
一体どういう関係なんだ。

いや、今はそれどころでは無い。


翔「只の人形ですよ。良く出来てるでしょ?」

潤「良く出来てるなんてモンじゃ」

翔「お褒めに預かり光栄です」

潤「いや、そんな事を言ってるんじゃ無く...」


まだ匂いを嗅いでやがる。
早く顔を離さんかコラ。


潤「こんなそっくりなの可笑しいでしょ」

翔「その方、お知り合いなんですか?」

潤「へ?」

翔「だから、その人形のモデルになって下さった方と」

潤「モデル?」


よし、波に乗ってきた。


翔「街で偶然お見掛けして、あまりに素敵な方だったのでモデルをお願いしたんですよ」

潤「...人形の?」

翔「ああ...、引かないで聞いて貰えます?」


俺は、少し恥ずかしそうに、且つ少し気持ちの悪い笑顔を見せた。


翔「ちょっと、趣味で」

潤「な、なんの」

翔「フィギュア集め...」

潤「え」

翔「でも最近似たようなのばかりで。だから自分で作ろうと思いまして...、えへ」

潤「あ、そう、なんだ...」


よし、ちょっと引いた。


翔「渾身の作品なんで、それ、返して貰っていいですか…?」

潤「あ、ああ。悪かったね」


智くんに気持ち悪がられてたニヤけた笑顔。
こんな所で役に立つとは。


翔「ああ、よかった」


ニヤニヤと笑いながら、両手に智くんを包んで頬擦りをした。

そんな俺の姿を見て、ズサッと砂利の摺る音が聞こえる。


潤「あ、じゃあ、もしその人に出会ったら伝えといてくれないかな。潤が心配してたって...」

翔「ええ、わかりました」


それじゃ、と潤と言う男は後退りをしながら去って行った。

くるりと身を翻し、逃げるように去ったんだ。



智くん。俺が、勝ったよ。







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