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第2章 SO~研究員×小人~逆襲の小人編~
惜しいな、そんな言葉を吐いた智くんは、小人が終わってしまう事に惜しさを感じたのか。
小人はなかなか楽しかった、もう戻るなんて惜しいな、そんなところだろうか。
智「ふぅ...」
コロンと転がった智くんは、両手を広げて俺の胸に張り付いた。
翔「のぼせた?」
智「ううん」
ピタッとくっついたまま、頭をぷるぷると振った。
智「気持ちいいなと思って...」
翔「え?」
智「いつも胸ポケットに入ってたからかな…」
頬を俺の胸にくっつけたまま、智くんは話す。
智「なんか、安心するんだよね。翔くんの心臓の音...」
俺の胸の鼓動が安心すると智くんは言う。
智「あ...、跳ねた。ふふ...」
そんな言葉が智くんの口から出て来るなんて思わなくて驚いたんだ。
驚いて、心臓が少し跳ねた。
智「楽しかったのにな。この音」
少し目を細めて、小さな手で俺の胸を撫でるんだ。
智「もう聞けないんだよね」
名残惜しそうに、細めた目で俺の胸を見てる。
智「残念だな…」
残念だな、智くんはそう言った。
俺の勘違いでなければその言葉は、俺によって放たれた言葉だ。
翔「残念?」
智「ん」
言葉短かに、一言頷く。
智「残念だよ。惜しい...」
さっき惜しいと言ったその言葉も、俺によって放ったのかもしれない。
小人が楽しかったから惜しいんじゃない。
こうして、俺と一緒に居られなくなるから惜しいんだと。
そう感じてくれたのかもしれない。
俺の自惚れで無ければその言葉の意味するところは。
俺と離れたくない。
それで、合ってるかな。