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第2章 SO~研究員×小人~逆襲の小人編~
俺にその鼓動を聞かせ、智くんは話す。
智「まだ数日しか経ってないけど、翔くんに会ってから」
至近距離で、俺の手を自分の胸に添えて。
智「色んな事があって」
そうだ。
だって、のっけから俺は小人だったんだし。
智「うっかりしてたんじゃないよ...。本当に、忘れてたんだ」
翔「え?」
智「彼女の事」
俺と出会って色々あって、智くんは俺に振り回されて忙しかったんだ。
だから、その影響で彼女の事も思い出さなかったんだと。
それは悪い事じゃないよと、俺が言った。
智「なんか、楽しくてさ」
ふふっと、少し目線を落として笑う。
智「見てて飽きないし。結婚の事なんて、思い出す暇が無かったよ」
翔「そうなの...?」
じゃあ、あの顔は?
翔「でも、寂しそうな顔してたでしょ...?」
智「あ~...、そんな顔、してた?」
俺が小さい時に見せたあの顔。
俺を見て、寂しそうに笑ってた。
智「うっかり出ちゃってたんだな…」
翔「へ?」
智「惜しかったんだよ。翔くんを、元に戻すの」
惜しいなと呟いた。
小さな俺を見て、目を細めて智くんはそう言った。
智「もう見れなくなるのかと思ったらなんか、惜しくなっちゃって、ね(笑)」
俺と同じじゃないか。
智「それに、戻ったらもう、俺は翔くんの傍にいる必要は無いんだと思ったら...、なんか、寂しくなった...」
翔「...傍に居る必要?」
智「だって、戻ったら俺なんて居なくても一人で何でも出来るでしょ?」
翔「ああ...」
あの寂しそうな顔は、俺に対して出てたんだ。
智「今だってそうだよ」
色気を纏ったその顔で、寂しそうに眉を下げた。
智「俺戻っちゃったから、もうここに居る必要なんて無いでしょ?」
翔「智くん...」
智「そう思ったら、胸が、苦しい...」
この人は馬鹿なのか。
俺は貴方に恋をしたと伝えた筈だ。
離れる必要なんて、何処にあるんだ。