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続・あなたの色に染められて

第7章 キズナ


柔らかな声色に自然と俺の頬が緩んだ。

『背伸びしたって見える景色はそんなに変わらなかったろ?』

『はい…たった10センチぐらいじゃ疲れるだけでした。』

何か悟ったように晴れやかで少し照れた表情が愛らしかった。

『京介さんの妻として恥じることなく…なんて出来もしないのに無理して高いヒールを履いて…。バカですよね…慣れないことするから躓いて迷惑ばかりかけてきたんです。』

たぶんそのヒールは散々おまえに甘えてきた俺が履かせてしまったんだろうな

『じゃあ、これからは俺が高いところを全部見てやるよ。』

『はい!お願いします!』

素直に頷きニコリと微笑むおまえに俺からもう一ついいかな

『ただし条件がある。』

『条件…?』

スマホの中の璃子に一目惚れしてからもう5年…

いい加減にもういいだろ?

『その敬語、今から禁止な。』

『…え?』

*

京介さんは私の体を捩り瞳を見据えるとどこかホッとした表情で言葉を続けた。

『おまえのその敬語が俺たちの壁になってんじゃねぇかなって思ってたんだ。』

無理に使ってるつもりはなかった。

でも、二人の絆を深めるためにはそうだよね…言葉は大切だよね

『そうですね、じゃぁ直します。』

『って、直ってねぇし。』

『あ…。』

重なる瞳は細められ彼の腕の中の心地よさに身を寄せて

『仕事のとき以外で使ったらお仕置きな。』

『お仕置き?え…ちょっと待ってください!』

『あー使った!』

『…ワッ!ちょ…ちょっと!』

首を縦に振ってないのに京介さんったら…

クルリと体を廻されて彼の膝の上に乗る私はお湯から出てしまった上半身を隠すように京介さんにしがみついた。

『ケンカもしような。』

『負けない…よ?』

危ない危ない敬語は禁止

『ククっ。来年辺りにはかかあ天下になってたりして。』

『ウフフ…そうかも。』

頬を寄せあい耳元で語り合う私たちは少し成長したかな

『全部話せたか?』

『はい…。』

…そう。着飾らない等身大の私でお話ししたかったからお風呂を選んだ。

肌を重ねることですべてをさらけ出せると思ったから

『璃子。』

そっと肩を押され瞳が重なると

『腹減った。』

『ハイ!すぐに支度しま…する。』

『何だそれ?』

軽く音を立てながら重なる唇は私の心と同じく心地よい音符が走っていた。

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