続・あなたの色に染められて
第1章 Sweet life
風呂を上がると璃子は先にベッドに入っていた。
その隣に体を滑り込ませていつものように腕枕すると俺の胸に手を添えて眼を細める。
『なんか久しぶりだな。』
『そうですね。』
時計の針はもう0時を回っていたけど こんな風に璃子の体温を感じられる日は久しぶりだった。
腕枕をしながら肩を抱き寄せて丸い額にキスを落とすと 璃子は俺の指を撫でながら
『ねぇ。』
『ん?』
『指輪…はずしたことある?』
絡めた指に光る俺のエンゲージリングを撫でながら どこか遠慮がちに尋ねた。
『ないよ。』
『ホント?』
少しだけ体を起こして俺の顔を覗きこむ。
『どうした?』
璃子の髪を撫でるようにゆっくりと梳くと ほんの少し唇を尖らせて
『さっき少し香水の香りがしたから…。』
溜め息混じりに今度は俺の胸に頬を埋めて
『わかってますよ ちゃーんと。でも なんか…。』
俺が接待から帰ってくると璃子はいつもこんな風にとても判りやすくヤキモチを妬いてくれる。
『なんか?』
胸に添えていた手が俺の指を探し絡めとると 少し拗ねたような口調で
『私のダンナさんなのになぁって。』
俺の指輪をクルクルと回しながら小さく溜め息を吐く可愛い俺の奥さん。
っていうか 俺の方が毎日ちょっかいを出してくる あの風間って野郎のことが気が気でないっていうのにな。
『ねぇ…ギュッとして?』
俺は体を横に向けて璃子を全身で包み込むと 璃子も俺の背中に腕を廻す。
『璃子はいつまで俺にヤキモチ妬いてくれるかな。』
そう呟くと 腕の中からモゾモゾと顔を上げて
『たぶん ずっと…おばあちゃんになっても…。』
『そりゃ嬉しいな。』
そう言葉を紡ぎながら璃子の体のラインに手を這わせ もう一度瞳を重ねれば
『…京介。』
璃子は首に腕を巻き付けて 不安そうな瞳で
『浮気…しないでね。』
なんて 自信無さそうに俺の瞳を見つめるから その言葉を発した唇を掬い上げるように重ね合わせ
『…んぅ…ふぁ…。』
璃子の思考を停止させる。
『まだ わからない?』
小さな耳へ囁くと体をビクンと跳ねさせて吐息を漏らすと
『だって…。』
『…ったく。』
拗ねた璃子のパジャマのボタンに手をかけ 真っ白な素肌をさらけ出すと
『俺はおまえのモノだろ?』
そう囁いて耳朶にキスを落とした。