続・あなたの色に染められて
第9章 Present from God
『ただいま~。』
酒蔵の12月はとにかく忙しい。
昼間は御用聞きに新酒の出荷の手伝い、夜は親父の代わりに会合やらお得意様から誘われた忘年会に顔を出す日々
猫の手も借りたい…ってマジでこういうこと。
『何か食うもんある~?』
まだ電気が点るリビングのドアを開けると 俺と同様に疲れ果てた璃子はソファに丸くなって眠りに落ちていた。
『おぃ~ソファで寝るなって言ったろ?』
お袋の代役やら休暇中の香織さんの業務まで朝から晩まで働きづめの可愛い姫の蒼白い頬に手を添えてキスを落とすと璃子は眉間にシワを寄せて
『う…ん…お帰りなさい。』
伸びをしながら頬を緩めてくれる。
『風邪引くだろ?待ってなくていいから先に休んでろよ。』
『だって…』
横になったまま腕を伸ばして俺の手を握りしめてまたニコリと微笑むと俺もつられて頬を緩めてしまう。
『…ったく。』
この笑顔に俺は救われていた。
『今お茶漬けの用意するね。』
ダルそうに体を起き上がらせると握った手に重心を傾けて立ち上がりキッチンに向かう。
『いいからベッドで寝ろって。』
『…大丈夫。早くお風呂入ってきて。』
その優しい笑顔に俺はいつも甘えてしまうんだ。
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『顔色悪いぞ?』
『そう?』
向き合ったベッドのなか
『熱は?』
丸みを帯びた額に俺の額を合わせて
『うん…ねぇな。』
『でしょ?』
いまにも瞑ってしまいそうな瞳を向けて小さく笑う。
『無理すんなよ。』
『大丈夫…こうして眠れば明日の朝にはチャージされてるから。』
俺の胸に小さな手を添えて幸せそうに目を瞑るコイツの頭を優しく撫でる
『俺もチャージしていい?』
柔らかな頬に手を添えて
『おやすみ』
『おやすみなさい…んっ…』
甘い甘いおやすみのキスを贈る。
どうにか休ませたいけど どう足掻いたってコイツは首を縦には振らない。
『よいしょっと…』
だから小さな寝息が聞こえると璃子の目覚まし時計に手を伸ばして
完全に遅刻…でも業務に支障をきたさない程度の8時に合わせてと
『よしこれでOK。あ…俺のはちゃんと合わせねぇと。』
俺がコイツに出来ることなんてこんなことしかない。
『プッ…もう口開いてら。』
額にもう一度唇を落として柔らかな感触を体全体に纏って目を瞑る。
これで朝にはチャージ完了だな