続・あなたの色に染められて
第9章 Present from God
…気持ち悪い
車を降りた瞬間に感じたこの変な感じ
…何の匂い?
最近の無理が祟ったのかな…
胸の奥深くがモヤモヤするっていうかムカムカするっていうか…
『おまえ顔色悪いぞ?』
京介さんにまでわかってしまうほどその波は一気に押し寄せてきた。
…乗りきれ!乗りきるんだ私!
だって今日は年に一度いつもお世話になっている野球の仲間に会える日
ずっとお世話になっている人たちに今年一年のご挨拶は必ずしたいもの。
お腹減りすぎたのかな…おにぎり1つでも食べればよかったな。
最近胃の調子がよろしくないのと朝の慌ただしさで朝御飯はミルクティーだけだった。
山道でもないのに酔ってしまうなんて
…昨日はいつもより早く寝たのになぁ
『すぅ~はぁ~』
大きく深呼吸をしながら胸を撫でた。
でも京介さんにユニホームを着せてもらって背中を擦ってもらったら少し気分が落ち着いて
『行けそうか?』
彼の恩師に挨拶をして豚汁組に合流した。
『璃子ぉ 大根が入ってるザル取って~』
『ハイハーイ。』
…臭い やっぱり臭い
少し治まったと思ったのに
『そっちに大きいしゃもじある?』
『ありまーす。』
…何でみんなは平気でいられるの?
さっきまでのあの胸のムカムカがまた私に襲いかかってきた。
…ヤバイ
『大根もう少しある?って…ちょっとアンタ大丈夫?』
それは一瞬のことだった。
…ダメだ!
『…うっ…』
突然我慢出来ないほどの吐き気が襲ってくると
『璃子!』
私はトイレに駆け込んだ。
あ~ぁ こんなに大切な日に私は何やってるんだろう
『エホッ…ウエッ…』
朝から何も食べてないから出るものも出やしない。
『…苦しい…ハァハァ…』
だったんだけど…
『璃子…』
顔を上げると鏡越しに苦しそうな私を見ながら微笑む幸乃さんと美紀が立っていて
『アンタもしかして…』
もしかしてって何よ。
『璃子ちゃん今月生理来た?』
『…生理?ううん…まだ今月は来てないかも…』
そういえば二週間ぐらい遅れてる
『おめでとう璃子ちゃん!』
『え?』
『璃子!おめでとう!』
『ええっ~!』
もしかして…もしかしてなの?
『私 薬局行ってくる!』
『うん!美紀ちゃん走れ~!』
呆然とする私を置いて美紀はトイレから駆け出した。