続・あなたの色に染められて
第9章 Present from God
『うっ…』
『何っ?吐きそう?』
突如として襲われるこの吐き気
『待て…待てよ…このビニール?…ほら持って。』
お昼休み タッパーを開けたとたんに嘔吐く私
『水?それともお茶にする?』
発覚してからニ週間…私はこの幸せの代償と戦っていた。
『…もうやだぁ。』
『よしよし…頑張れ。』
悪阻というのは可笑しなもので妊娠したとわかると余計に酷くなる。
『京介さん…』
『ん?』
『…抱っこ…』
そして この悪阻の唯一の特効薬が彼のぬくもりを感じることだったりする。
『…フッ…ハイハイ。』
応接室のソファーの上で膝枕をしてもらいながら髪を撫でてもらう
『無理しないで午後は家で休めよ。』
彼の香りを感じその心地よさに目を瞑るとお腹の赤ちゃんも嬉しいのかな…自然と心に余裕が出来て体が少し楽になる。
『イヤだよ…お家は一人で寂しいもん。』
私はママに似たのかどうやら悪阻が重いらしい
先週報告も兼ねて京介さんと実家に遊びに行った時に 私がお腹にいるときにどれだけ悪阻に悩まされたか聞いた。
「寝てばっかりだと余計に悪阻が酷くなるから働いてた方がいいんじゃない?」
偉大なる先輩ママの助言を素直に受け入れ 出来る範囲で働かせてもらっていた。
『あんまり無理すんなよ。仕事の代わりはいるけど腹の子の代わりはおまえしかいねぇんだから。』
頭上でコーヒーを啜る京介さんはお弁当に手を付けない私が心配で仕方がないみたいだけど
『少しこうしてれば良くなるから。』
京介さんの腰に腕を廻し甘える私はいつからか 誰かさんに負けないぐらい甘えん坊なっていた。
『なぁ…まだキスしちゃイヤなの?』
『…うん。』
『もしかしたら治るかもよ?』
イタズラに笑う京介さんの気持ちがすごく嬉しいけど ずっと嘔吐いてる私は拒んでしまう。
そんな拒む私の唇を京介さんは人差し指でプルプルと弾きながら
『何かさ…もう腹の子におまえを取られてる気がする。』
『何で?』
『俺にキスをさせねぇぐらい悪阻をひどくさせてるだろ?コイツ…男かな?』
口を尖らせながらも目を細める彼はお腹の子にヤキモチを妬いているようで
『わからないよ?パパが大好きで私に嫉妬してる女の子かもしれないじゃない?』
『女かぁ…』
結論
どっちが産まれてきてもヤキモチ妬きにはかわらない模様…