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続・あなたの色に染められて

第9章 Present from God


『しょうがないだろ?』

『だってぇ…』

それをおまえの手のひらに乗せたのはいつだったかな?

『また今度にしよ?な?』

『あぁ…ウニのクリームパスタ…』

ソファーの背に気だるそうに寄りかかり頬を膨らますおまえの気持ちもわかる。

でもな

『自分の顔見たか?真っ青だぞ?』

『アフォガード…』

いくらクリスマスの夜だからって

『会いたかったなぁ…』

夏樹さんの店は逃げやしねぇ

キャンセルが出たと電話をもらったのは一週間前だった。

まだその頃はここまで悪阻も酷くなかったから 二つ返事で予約を入れてもらったんだけど

『…うっ…気持ち悪い…』

『ほらな 家でゆっくりしてよう?』

まだ一度も灯されたことのない小さな小さなクリスマスツリーを璃子は胸に抱いて

『…行きたいよぉ』

『諦めなさい。』

こんな大切な夜も幸せの代償に悩まされていた。

日に日に悪化しているように見えるこの代償に璃子の笑顔も少なくなってきた。

『お腹すいた…』

『食えそう?』

『ウニのクリームパスタなら食べれる。』

『だから~。』

ここ2.3日は特に酷いらしく仕事も休んでいる。

『あっ…洗濯…』

『いいから。』

『ご飯…』

『いいから!』

部屋を見渡せばまるで独身の頃の俺の部屋のように 畳まれるのを今か今かと待ちわびている洗濯物の山たち

でも今俺がその山に手を付けてしまうと璃子は体にムチを打ってしまう。

『少しテレビでも見てろ。』

俺は立ち上がりキッチンからワイングラスとフォークを持ってきて

『どこで買ってきたの?』

『コンビニ。』

帰りに寄ったコンビニで見つけた小さな丸いシートケーキをテーブルに乗せて

『ウフフ…なにそれ…』

グラスに注ぐのは白ワインじゃなくて

『ポカリで乾杯なんて聞いたことないよ?』

『煩い!一生に一度ぐらいいいだろ。』

二人だけの最後のクリスマスイヴは

『写メ撮りたい。』

小さなクリスマスツリーと小さなケーキ

『おぅ。ちょっと待てよ。』

それと俺たちの手にはいつもと中身の違うワイングラス

『じゃ撮るぞ。せーの!』

『メリー…キャッ!』

…チュッ

…カシャ

『もうっ!』

『ほっぺたならいいんだろ?』

ほらな あんなに青白かった頬がピンク色に染まった。

本音を言えば唇が欲しかったんだけど…

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