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続・あなたの色に染められて

第10章 マタニティ・ライフ


『言ったよな?事務所で待ってろって。』

杜氏の竜介さんの威勢のいい一本締めのあと みんなそれぞれの部署に戻ってるんだけど

『…だって。』

フラフラとし出したキミを座らせようとしたその椅子で可哀想に…

『だってもクソもねぇだろ!』

腕を組み…足を組み…溜め息混じりに見下ろされたキミは心配性に拍車ががかかったダンナさまからただいまお説教の真っ最中

『はぃ…』

ボクが知る限りキミのダンナさんはヤキモチ妬きだ。それも最上級のプレミアもの

そしてキミは自分のことより他人を優先する気配りの出来るボクのなかでは最上級の女性

悪阻に襲われるとわかっていても参加しなければみんなに気を使わせてしまう。だったら無理して出席する…たぶんキミの考えはそんな感じだったんだろう

『俺の言うこと聞くっていうのが復帰の条件じゃなかったっけ?』

『そうだけど…』

でも、ヤキモチ妬きのダンナさまがそれを見逃すはずはない

ほらね…クスクスと笑ってるボクと視線が重なるとギロッと睨み付けて

『言うこと聞けねぇなら 飯食えるようになるまで自宅待機にするぞ。』

『え~』

そうなんだよ…キミは倒れそうになったことで叱られてるんじゃなくてボクが助けようとしたから叱られてるわけで…

『は?言うこと聞けないんだ。』

『…きます…』

『聞こえません。』

『聞きます!』

『当たり前だっつうの。』

大きな溜め息を吐くキミと対称的に、満足そうにボクに視線を送り頭にポンと手を置くダンナさま

そして大きな体を屈ませてキミの耳元に魔法の言葉を囁くと 青白かったキミの頬はピンク色に花が咲く。

あのさぁ ここは職場だってわかってる?

『ゴメンナサイ…』

『わかればよろしい。』

そしてボクはキミの笑顔を見て気付かされる

そか…その薬をいつでも服用出来るから無理して職場に来てるんだ

そう キミの幸せの代償の特効薬はダンナさまなんだと

…やってらんないよ

まだ見た目じゃ全然わからないけど これから日を重ねるごとにキミの体型は変化し ボクの心を締め付けていく

もう 手を出すわけにはいかないよな

でも その笑顔には触れていたい

ボクは親戚のおじちゃんクラスになるしかないのか…

まだ先のことなのにキミの笑顔はボクを悩ませる

まだ先の話だけどね…

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