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続・あなたの色に染められて

第10章 マタニティ・ライフ

♡April♡

カキーン!

『行った?!』

『これは行ったでしょ!』

春色の青い空に真っ白な放物線が描かれる

『ヤッター!』

京介さんのホームランを見たのは2度目だった。

毎年恒例、草野球の春大会

今年も順調に勝ち進み本日は決勝戦。相手は去年何とか勝ち越した因縁のチーム

今年はコールドで決めてやるだなんて試合前からみんな息巻いて

で、結果…

京介さんのホームランも含め大量得点で有言実行コールド勝ち。で めでたく優勝!

大人の野球少年は抱き合い満面の笑みで整列する。

『相変わらず璃子ちゃんがいると打つわねぇ。』

『そう?』

『そうよ。最近は璃子ちゃんが来ないと打席にも立たないもの。』

仕事柄なかなか応援に来れないけど

『京介さーん!』

『走んなバカ!危ねぇって!』

大会だけは必ず足を運んだ。

『ホームラン凄かっ…』

『おまえ何回言ったらわかんだよ。階段はゆっくり降りろって言ってんだろ?』

そんなダンナさまはみんなの前ではクールに決めてるくせに

『それになんだよその格好。風邪でも引いたらどうすんだよ。』

『寒くないもん。』

回りのみんなもクスクスと笑い出すほど妊婦の私に過保護だったりする。

『良いからこれ着とけ。』

でも、それがすごく嬉しかったりもする。

**

『大きくなったね。』

『胎動は?』

『スゴいの。寝ててもわかるほどボコボコって蹴られて。』

試合のあとはお決まりの祝勝会

『アイツ、日に日に過保護になってくよね。』

『ですよね!もう困ってるんですよ。』

私はすっかり魔女の一員となって日頃の鬱憤を晴らしていた。

『いいんじゃない?璃子ちゃんを愛してる証拠じゃない。』

『そうね 愛されてるうちが華よ。』

『でも これじゃあ赤ちゃん生まれたらもっと大変かもよ?』

『はぁ…先が思いやられますよ。』

って溜め息を洩らす私は妊娠6ヶ月

『性別どっちか解った?』

『いいえ…まだ聞いてないんです。』

『女だったら京介もっと過保護になりそう…』

『わぁ 想像できる。』

お腹が目立ち始めたここ最近、だいたい性別の話になる

『あの…やっぱり皆さんどっちか聞きました?』

『もちろん。洋服揃えるのも楽だし、名前だって考えられるし。』

『ですよね…』

この性別の問題で私たちは頭を悩ませていた。

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