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続・あなたの色に染められて

第11章 Hello! My Baby!!


『やっぱり陣痛来ちゃったね。ハイ楽にしてくださーい。』

カーテンの向こう 助産師さんが診察台に座る私の子宮口を確認する。

『う~ん…4~5㎝ってところね。お昼ごろかな?いいですよ~。』

…はぁ…この痛みがお昼まで続くのかと思うと萎えてしまうけど

『初産婦さんはそんなもんだから。あら…またきちゃった?落ち着いたらでいいですからね。』

『…イタタタ…ありがとうございます。』

ちょうど始まった陣痛に体は一瞬動かなくなるけど

『出産は長期戦だからね。』

傍にいてくれた年配の看護師さんが私の腰を力強く擦ってくれた。

**

『がんばれ。』

病室に案内されるとすぐにまた陣痛の波が私を拐っていく。

『ここを強めに擦ってあげると奥さん楽になりますよ。』

『は…はい。』

付き添ってくれた先ほどの看護師さんにレクチャーを受け京介さんは私を抱きしめるような形を取りながら腰の下の方をせっせと擦ってくれる。

『もっと強く擦ってあげて。』

『もっと?こんなに?』

擦るって言うより押してる感じ。でもそれは痛みをかなり和らげてくれて

『がんばれ。』

京介さんの胸に体を預けて痛みが逃げるまで擦り続けてもらった。

『個室で正解だったな。』

彼の腕の中で目を閉じる私

この病院の産科病棟はほとんどが個室

だから痛みがないときに気兼ねなく彼の温もりを感じれることは私にはとてもありがたかった。

**

『着替えるからちょっと向こう向いてて?』

陣痛って摩可不思議。痛みがないときはいつもと何ら変わりはない。

『それ着るといよいよって感じだな。』

ブカブカのいかにもな寝巻きのワンピースを着せられた璃子は腹を撫でていた。


*

『がんばれ。』

いつの間にか病室から見える東の空が少しずつ色を変えていく。

『…痛ぁぃ…』

璃子が波に襲われる度に掴む俺のTシャツは気が付けばしわくちゃだった。

『…もう少し。あと10秒。』

看護師さんに「痛みはどんなに長くても1分以内だから」と言われ波に襲われるごとに俺は時計の針とにらめっこ。

痛みが過ぎ去るとさっきまでは少し息を整える程度だったのに

『京介さん…』

握っている璃子の手から力は抜け確実に体力を奪われていた。

『いいから少し休め。』

髪を撫でながら ふと窓の外を見ると大きな太陽が登り始めていた。

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